細川珠生website
最終更新日 2007年5月31日
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「解答乱麻」
産経新聞(2007年4月4日付)

真のエリート育成せよ

 平成19年度予算が成立した。国家予算はその国が何を重要視しているかを表すものであり、「教育再生」を最重要課題に掲げる安倍内閣が教育予算をどれだけ確保するのか注目してきた。日本はこれまで毎年教育予算を削減するという異常ともいえる国家であったのだが、かろうじて今年度は前年度比0.1%増の5兆2743億円を確保したようだ。さらにこの少ない予算をどう使うのか、その施策と教養内容が重要になってくるのは言うまでもない。
 公立学校では全国初となった施設一体型小中一貫校「日野学園」が東京都品川区で開校して1年。区内2校目の「伊藤学園」が6日に開校する。品川区では「施設一体型小中一貫校の六校構想」に基づき、来年度には八潮地区で、平成22年度には荏原西地区でそれぞれ開校する。施設一体型のみならず、区内全小中学校で小中一貫教育を行う品川区では、教育改革の大きな柱である各学校の「特色ある教育」をさらに一歩進めていく段階にある。
 来年度開校の八潮地区小中一貫校では、東京都立産業技術高等専門学校と連携して「小中一貫ものづくり教育モデル」プログラムを開発・実施することになり、3月1日に東京都教委と品川区教委が基本協定を締結した。機械システム、電気電子技術、情報通信、ロボット、医療福祉技術などを専門的に学ぶ産業技術高等専門学校の生徒や先生と連携しながら9年間を通じて「ものづくり」の素養を育てていくこの取り組みは、八潮地区小中一貫校の特色の一つとしても期待が大きい。しかしそれ以上に、この取り組みには義務教育の役割を考える上で重要な点が含まれていると私は考えている。
 このプログラムでは、小学校1年生から「ものづくり」に具体的に触れる機会が持たれ、興味のある子供たちはより高度な技術や知識を習得する機会が持てる。子供たちは自分の興味あること、向いていることを早い段階で見極め、それを最大限伸ばし生かす道を選択することが可能となる機会を得ることができるということだ。
 私は、今の日本の閉塞感は、学力の低下や国際競争力という漠然とした力の低下というよりは、個々の力を最大限発揮できていないことに根本的な原因があると考えている。多くは、自分が何をしたいのか、何に向いているのかを考えることもなく、義務教育を終え当然のように高校へ進学し、勉強が好きでもないのに“とりあえずは大学ぐらい卒業しておく”。これでは飛びぬけて能力の高い人材は育たない。大学を卒業してもなお、自分が何をしたいのか分からないようでは、お金も時間も無駄である。
 今の日本には頭脳においても技術力においても真のエリートを育成する教育が必要である。そのためには、遅くとも義務教育を終える段階で人生設計を立て、それ以後の教育は、自分の人生設計に必要な場において行われるべきである。安倍内閣の教育政策には、人間像、社会像、国家像が欠けている。それなくして、予算を有効に使うことができるのだろうか。


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