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最終更新日 2007年5月31日
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「解答乱麻」
産経新聞(2006年6月26日付)

教委廃止より運用正せ

 小泉改革の典型的なパターン「始めに結論ありき」の手法で、教育委員会がやり玉に上がっている。
 数年前から、“改革派”と呼ばれる首長の間から、形骸化している教育委員会を廃止して首長部局で直接指揮・監督する方がまっとうな教育行政が行われる―という意見が出されるようになった。教育委員会はまるで教育改革を阻む元凶のような見方をされるようになってしまった。
 政府も「規制改革・民間開放推進会議」で教育委員会のあり方を議論してきた。これまでに第1次、第2次の答申が出され、7月には第3次答申が出される予定だ。国家予算編成の主導権を握る経済・財政諮問会議の今月7日の会議でも「緊急対応すべき規制改革の重要課題」として教育委員会のあり方が位置づけられている。その目指すところは「児童生徒・保護者本意の改革」だそうだ。教育委員会を廃止し、首長部局にその組織を置くことで、教育内容が劇的によくなり、立派な日本人がつくられるようになるのだろうか。
 教育委員会は「地域教育行政の組織及び運営に関する法律」によって、各自治体に首長部局とは独立した組織として設置が義務付けられている。委員数は原則5人(自治体の規模によって3人から6人の幅が認められている)。委員は首長が議会の承認を得て任命する。教育委員会は委員会を代表し、教育長は委員会の指揮監督の下、すべての事務をつかさどる権限を持つ。教育長の下に事務局が置かれ、教育行政を執行する。
 教育委員会は最高意思決定機関として、教育委員の発議によるものや、事務局が作成した議案や報告を審議・意見表明する。会議は原則公開し、陳情や請願も受け付け、誰でも傍聴できる。重要な任務として教員の人事、教科書の採択、教育課程の目標や編成の決定などが挙げられるが、地域スポーツや文化芸術の振興、文化財の保護などについても責務を負っている。
 住民から選ばれた首長が住民から選ばれた議会の承認を得て任命した委員によって構成されている教育委員会が、首長部局から独立していることにより、政治的中立性を保ち、教育内容の中立性を保つことができるという現行制度のどこが問題なのだろうか。教育委員と事務局との間に緊張関係があれば、単なる追認機関にもなり得ない。逆に首長部局に置かれれば、首長次第では偏ったイデオロギーや宗教が教育現場に持ち込まれる可能性もある。
 とはいっても、あまり機能していないと思われる教育委員会も多いことは事実だ。しかし、制度ではなく運用の問題であり、もっと言うならば、形骸化している教育委員会の委員を任命しているのは首長であることも忘れてはならない。ただ、その自治体の住民でなければならないという委員としての要件は、地方へ行けば行くほど難しくなってくる。そこに運用の幅がもう少しできるだけで、現行制度でも十分機能する委員会を構成することは可能だ。
 規制改革より首長の真剣な姿勢こそ求められているのだ。


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