最終更新日 2006年5月30日
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「解答乱麻」
産経新聞(2006年4月24日付)

『 小中一貫校は第一歩だ 』

 前日の春の嵐がうそのように晴れ渡った空の下、公立校では全国初となる東京都品川区立小中一貫校「日野学園」が四月六日に開校した。小坂憲次文部科学相も出席して行われた開校式では、「標準服」に身を包んだ一年生から九年生までの五百五十七人が、完成したばかりの校庭に一堂に会し、品川区の教育に新たな一ページを開いた。
 品川区では、日野学園だけではなく、今年度から区内全小中学校で、区が独自に作成した「教育要領」に基づき小中一貫教育を行う。
 「英語科」の一年生からの導入、「総合的な学習の時間」「道徳」「特別活動」を統合して「市民科」を新設、国語や算数の時数を年間で最大五十五時間増やすなど、平成十二年度に始まった品川区の「教育改革プラン21」が、教育内容に踏み込んだ改革を行う段階に達したということになる。しかしこれは「プラン21」の集大成ではなく、品川の教育改革が次の段階に進んだということに過ぎない。
 品川区では学校選択制や外部評価者制度、学力定着度調査の導入により、公立学校が選ばれる立場になった。そのために各校が特色作りに励み、教育環境の質を高めてきた。
 それは単なる人気取りや序列化のためにすることではなく、各校が子供の実態をよく把握し、また問題を直視してその解決に当たるために行ってきたことである。
  国の「六・三制」という義務教育の制度が変わらない中でも、九年間を「四・三・二」というまとまりで再編成することにより小中一貫教育を実現したことも、まさに子供の実態と目の前に山積している教育現場の問題に即対応し改善しようという区の強い姿勢があったからである。
 教育委員としては若年の私でさえ、中学に入学したのは、四半世紀も前になる。この間、日本の社会がどれだけ変化したかを考えれば、国が悠々と教育基本法改正や学習指導要領の改訂に四年も五年もかけているのを待っていることはできない。
 特に、情報社会の発展は、子供の心身の発達に大きな影響を与えていると考えなければならない。少なくとも私より年長の方々には、自身の時代より二年は前倒して子供が成長していると考えても決して大げさではない。
 もちろんそれが健全な成長であれば問題ないが、情報過多の子供たちには、体で身につけるべき判断力や忍耐力が身につかない、身についていないという問題がある。
 その上、ゆとり教育により学習内容が削減されていては、国際競争の中で勝ち進んでいく日本人が育つはずがない。
 小中一貫教育は、義務教育期間九年間を一体とすることで、効率的、効果的な教育環境を作ることができる。カリキュラムの再編成や小中学校の教員が共に双方の児童・生徒の教育・指導に当たるというのが、その一例である。しかし大事なことは、制度は完璧ではないということを認識し、常に改善・改革を重ねていくことにある。教育に携わる者はその自覚を持たなければならない。


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