少子化問題が日本にとって大きな課題であることは承知だが、私は常々、国策として行う効果的な少子化対策などないと思っている。自由主義国家であれば、あり得ないとさえ思う。
しかし、結果として子供が増えるというところまではいかなくとも、少子化・人工減の流れをもう少し緩やかにする政策はまだまだある。例えば一つに公教育の充実、また一つには小児医療体制の充実である。
年の瀬が迫った昨年十二月、子供の一歳半健診と予防接種の通知とともに、一枚のある「お知らせ」が同封されていた。
その内容は、一歳健診時に同じように通知される麻疹・風疹の予防接種を、どちらか一方を受けている場合には、今年三月末までにもう一方を接種するようにというものだった。これまで単独に行ってきた麻疹・風疹の予防接種を、四月以降、混合ワクチンを使用することになり、単独ワクチンの使用ができなくなるという理由からだ。つまり期日までに受けなかった場合は、公費での接種はできないということだ。
私は“目を疑った”。これほどまでに子供(と親)に酷な通知があるだろうかと、何度も読み返してみたが、やはり内容はそうだった。
子供の予防接種は、生後三、四ヶ月で行うBCGを皮切りに、一歳半になった今日までに八本(麻疹・風疹を含む)を数える。その他に、インフルエンザ予防接種を二回受け、しかもワクチン間の規定の期間もあり、もちろん発熱などの体調不良のときは受けられないという条件もある。ここまで八本を順調に受けてこられたことは、半ば奇跡に近い。
子供が一人ならまだいい方で、これで兄弟姉妹がいれば、誰か一人風邪をひいただけで予定が狂う。母親が仕事をしていれば、接種可能な日数も非常に限られてくる。加えてこの時期、元気ならできるだけ避けたいのが病院。インフルエンザの流行期を避けて予防接種のスケジュールを組んでいる親も少なくない。
唐突感が否めないこの予防接種に関する変更も、昨年七月に閣議決定された政令による。その後、都道府県を経由して市区町村に通知され、国民に知らされるまでに約半年もかかっているのだ。閣議決定時には“かなり先”だった期日も、該当者にとっては目前の期日である。
一事が万事、日本の政策は、子供の実態に即していない。小児医療体制のお粗末さに直面すれば、この国でどうやって子供を育てればいいのかと、真剣に悩んでしまう。
安心して子供を産み、育てられる社会とは何か。出産や医療の無料化は、スタート地点に立ったに過ぎない。本当の安心は、日本のすべての子供たちが、万全の医療体制が整う社会で、質の高い教育を受けることにあるのではないだろうか。そのために、安易な外部への依存ではない公教育の信頼性を高め、医療のシステムを抜本的に改革することが必要である。救急のない科ばかり開業される国では、子供が増えていくとは到底思えない。
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