―― 最近の若者の国や国家に対する考え方をどう見ますか。
「国家観という概念はないのではないか。日本という国の歴史や成り立ちを知らない若者があまりにも多いですよね。発端は戦争に負け戦前に日本で何があったか、義務教育の中で教えられなくなったことにある。教育基本法の中に『教育は不当な支配に屈することなく』とか、教師の権利を主張するような文言が含められ、単に教師が一労働者になってしまったと思う。そこで、信念を伝える役割ができなくなった。教師もしようとしなかった。歴史を淡々と説明し、しかも十分な時間を取らずにやってきた。(何を教えるべきかという)指針がないのだと思う」
―― 「愛国心」という表現を盛り込んだ教育基本法の改正案が国会で審議されています。
「私が米国へ留学した時、仲良くなった台湾人の友人に『日本人が大嫌いだった。(日中戦争当時)南京でたくさんの人間を殺したし、慰安婦的な行為もひどかった』と言われた。そのとき私は彼女に反論できるだけの歴史の知識がなかったのです。反論ができずに悔しかった。そこで歴史教育の問題点を痛感した。何も知らない。これはまずいと。こうして育った私たちが漠然と日本を愛せと言われても、何を愛せばいいのか分からない。過去に生きてきた人の思いを学ぶことで、日本っていい国だなあと再認識できるのではないか。そこには独特の日本の価値観があるはずで、そういうことを学ぶことが日本の良さを知っていくことにつながるのだと思います」
―― 憲法に対する政治家の姿勢をどう見ますか。
「政治にかかわる仕事をするのなら、まず憲法について勉強するようにと父に言われたことが(私が憲法に)関心を持ったきっかけ。岸内閣の憲法調査会で大叔父(政治評論家の故細川隆元氏)が委員をしていましたが、そのときの報告書を読んでいると、日本が敗戦の荒廃から立ち上がり、米国の占領も終わって独立国として生きていくために、自主憲法制定が何よりも重要な政治の任務であるという気持ちが伝わってくる。命がけでやらなければと。でも今はそういう強い思いをいっさい感じない。安倍晋三首相も来年の参院選に勝つまでは守りに入るというスタイルですよね」
―― 一個人として日本国憲法をどう評価しますか。
「今の憲法は米国そのもの。無理やり日本の精神を変えさせられた。結果的に自己の権利ばかりが強調され、義務が軽視されている。日本人の本来持っている協調の精神が失われつつある。危険な兆候だと思います。憲法がニートやフリーターに代表される自己中心的で無責任な日本人をつくったのではないでしょうか」
―― 一方で、日本国憲法は男女平等をうたっています。女性にとっては恩恵だったのでは。
「参政権を女性に認めたことは素晴らしかった。女性は仕事をする選択肢を与えられ、私もこうして働いていられる。家庭での役割とのジレンマという新たな問題も出てきていますが、それは女性が自由になったことの裏返しではないでしょうか。戦前のような決められた役割を果たすというのはやはり嫌ですよね」
―― 新しい憲法を制定するとしたら、何を盛り込むべきだと思いますか。
「憲法を新しくつくるのであれば、国家の役割とは何かということを考えなければならない。国会議員は安全保障・外交に専念し、地域のことは地域で決め、国会議員は関与しない。そうしないと国家としてのグランドデザインは描かれない。そのために連邦制を憲法に盛り込み、地方分権を徹底させることが必要。そうした中で、日本人が日本国民として大切にしなければならないことが、憲法の中で生きてくるのだと思います」 |