教育基本法改正案に新たな条項を設け「家庭教育」を盛り込んだことは、それだけ家庭の教育力の低下が、わが国において大きな問題点となっていることの表れである。憲法と並び、日本人の精神の支柱ともいえる教育基本法に、あえて家庭の重要さ、責任の重さを盛り込まなければ、当事者(つまり親)の責任を常に自覚させることができないほど、親の意識はもちろんのこと、「家庭」という社会生活の基盤がもろくなっているということだろう。
故に、同法改正案に「家庭教育」の条項が盛り込まれたことは、親の責任を自覚させ、「家庭」の重要さを全国民で再認識するという大きな意義を持つ。
これまでは「家庭」=「私」というとらえ方の中で、「公」、特に行政などの公の機関が、個々の家庭に深くかかわることは難しいことであった。家庭と学校、家庭と行政の間には、明確な線が引かれていたように思う。その反面、家庭から学校への要求は増加の一途をたどり、「しつけをきちんとしてほしい」などという、本来家庭で身につけるべき生活態度などが、義務教育を終えるころに身についていなくても、親はその責任を感じることすら、なくなってきているという現状がある。
教育基本法改正案第10条の「家庭教育」の趣旨により、家庭、つまり親などの保護者は、子どもに、基本的な生活態度、しつけなどを身につけさせる義務と責任を有し、家庭が社会を構成する基本単位であることから、円満な家庭生活の維持に努めなければならないという国民の自覚と行動を促すことを期待しているものと思われる。
同時に、単に家庭だけの努力に委ねるのではなく、地域や行政はそのために必要な環境を整え、サポートをすることにより、改正案第13条にあるような「学校、家庭及び地域住民等の相互の連帯協力」の実現につなげていくことが期待されている。
これら改正案の定める趣旨が着実に実行されていくためには、直接的には学校が、この条項の周知の徹底を図る努力をしながら、親の意識を変えていく担い手とならなければならないだろう。また家庭に対し、特に目に余る責任放棄の実態があった場合、何らかの罰則が必要かどうかは慎重に検討すべきと考える。 |