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政治家になってから、色々な方から色々な食事に誘われる機会が多くなって、レストランでも料亭でも最高級と言われるお店に行くことが多くなったんです。食材もシェフも、そして値段も“超一流”。それはそれで確かに美味しいのですが、本当に美味しいものって何だろうって考えると、白いご飯と味噌汁なんですね。最終的にはここに回帰するというか、日本人のDNAにはこれが一番合致するのだろうと思います。僕にとっては、特に母親が作ってくれた「旅館の朝ごはん系メニュー」がどんな高級店の料理より美味しい!
僕の母は、草津の老舗旅館の娘で、父も「山田屋」というひいじいさんの代から続く旅館を経営していました。そのかたわら町会議員をやったり、国体や全日本の代表になるようなスキーの選手をやったりと、母は旅館の女将、政治家の妻、スポーツ選手の妻、そして四人の子供の母親と、一人で何役もこなしていて大変だったと思います。でも当時には珍しく、東京の女学校を出ていたので、家庭での食事や生活もあれこれ工夫していたようでした。夜になると、よくシューベルトを聴かされていましたが、シューベルトって、夜聴くとすごく不気味なんですね。その晩は悪夢を見てしまうから結構迷惑だったんですけど。
そんな母が作る朝ご飯は、白いご飯と味噌汁に、焼き魚、納豆、卵焼き、のり、大根おろしなどのいわゆる日本の家庭料理。でも、このコンビネーション以上に美味しいものは、この世には存在しないと思いますね。特に味噌汁は一番の好物です。具は、大根とジャガイモか、アサリやシジミなどの貝類の二パターンで、それに豆腐などが入っていましたが、特にジャガイモを使った味噌汁は、もう絶品!!味の濃さといい、ジャガイモの崩れ方といい、大根の味のしみ込み具合といい、絶妙なんです。それにいつも同じ味。今の自分からみたら信じられないぐらい亭主関白だった父も、食事の最後に必ず、「最高だ!」といって食べていたくらいです。
何年か前、実家でジャガイモの味噌汁がでてきましたが、美味しかったですね。何か歯車がピタッとかみ合ったような、忘れかけていた何かがよみがえってきたような気がしました。一昨年、母が亡くなったので、もうこの味噌汁は食べられませんが、何とかもう一度食べてみたい。
父の経営する旅館は後にホテルに建て替えたのですが、政治をやり過ぎて、結局手放してしまったんです。でも父は山田屋を再興して欲しいと願っていましたから、いつか自分が、小さくてもいいから旅館をやりたいと思っているのです。そのときは、やっぱり白いご飯とジャガイモの味噌汁を出しますね。
(取材・構成 細川珠生)
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