最終更新日 2004年5月6日
■HOME ■MailMagazine ■Contact
著作紹介

掲載紙・誌紹介

講演活動 メールマガジン 執筆・取材依頼
「ラヴィ・ドゥ・トランタン」2004年2月号
『30ans政経塾・細川珠生の政治塾』

今月のお題「なぜ、日本はイラクへ自衛隊を派遣するのか?!」

 「あんなに危ないところに、なぜ、日本の自衛隊が行くの?」−私たち日本人が、普通に感じる疑問。それが、イラクへの日本の自衛隊派遣だ。フセイン元大統領が拘束されたとはいえ、依然、イラク国内でのテロは激しい。でも、ブッシュ米大統領と約束してしまったからなのか、小泉総理は、今さら、自衛隊を出せませんとも言えなくなった。安全なところへ派遣するのであれば、日本国内の不信感は払拭できると思ったようだが、小泉総理の考えは甘かった。二人の日本人犠牲者が残した“遺言”、それは「安全なところなど、ない」というものだ。
 自衛隊に犠牲者を出すわけにはいかないということにこだわりすぎていたせいか、既にイラク入りしている大使館職員やNGOのメンバーなどの安全確保が、あまりにもお粗末であることも浮き彫りとなった。在イラク日本大使館には、防弾車も2台しかないという。そのうちの1台が、11月末の銃撃で破壊。陸上自衛隊がイラクへ持ち込む車両をすべて防弾車とするというけれど、なぜ、もっと早くにこれくらいのことができなかったのか、不思議でならない。日本政府は、ほとんど“思考停止状態”だったということなのだろうか。
 そう、日本政府は、こと、安全保障や外交となると、“思考停止状態”になってしまうのだ。もっと“タチ”が悪いのは、思考停止の“フリ”をするときがあることだ。なぜって?それは、今までずっと、同盟国である“アメリカさまさま”に、アメリカにただついて行けばよかったから。日本が国際協調、国際貢献のために、どんな軍事行動ができるかなど、考える必要性が全くなかったのだ。それに、日米安保条約という軍事条約は、軍事力をもたない日本が、アメリカに守ってもらうだけの一方的な条約であり、そのため、日本はアメリカに逆らうことなど、とうてい無理なこと。アメリカにとっても、アジア諸国をはじめ、そこからさらに“アメリカの”グローバリズムを拡大するためには、日本にある米軍基地を拠点にできるという意味から、日米安保条約が一方的に日本に利するものではないと考えられてきた。日本は、自分の国の防衛すら、アメリカに頼っていればよかったおかげで、経済力の立て直しだけを考えてきた。
 要するに、思考停止状態になってしまったことは、日本の敗戦をいまだ引きずっていることでもあり、特にアメリカとの力関係においては、悲しいことに、対等とはいえないのだ。イラクへの自衛隊派遣は、そんなアメリカとの関係において、日本は拒否することすら不可能。それが、日本の真実の姿なのだ。現在、38カ国(03年12月現在)がイラク復興のために派遣しているが、それらの国と日本は、事情があまりに違いすぎるとも言える。
 このことに気づいている政治家は、実は多い。しかし、真に対等な日米関係とするには、アメリカに頼らなくても、自国を守ることのできる防衛力=軍事力を持つことが必要だが、その話になると、政治家は、モゴモゴ、モゴモゴ・・・。この議論を避けている以上、日本が主体的に行うことのできる国際協調や復興支援など、何もないと私は思うのだが・・・。


Copyright(C) 2001-2005 (有)パールオフィス. All rights reserved.