最終更新日 2004年3月2日
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「ラヴィ・ドゥ・トランタン」2004年1月号
『30ans政経塾・細川珠生の政治塾』

今月のお題「年金改革のゆくえ」

 11月の総選挙で、有権者の関心が高かった年金問題。選挙の結果から、私たちの年金が一体どうなるのか、関心は高まる一方だ。しかし、正直言って、政党や政府側から出されている年金改革案に、未来はない。とりわけ、政権維持を“信任”された自民党の年金政策は、単なる問題の先送りにすぎない。私たちの老後不安を根本的に解決するには、思い切った大幅な発想の転換が必要なのだ。
 そもそも、なぜ、年金が必要なのか、そこから考えてみよう。
 年金は、老後の生活の糧となるもの。歳をとって、思うように働くことができなくなれば、収入も満足に得られない。しかし、歳をとっても、命続く限り、人間らしい生活を送る権利がある。そこで国家は、年老いた私たち国民を、社会保障のひとつとして“守っていく”というのが、公的年金制度の意味である。職業や地位に関係なく、国民が平等に得られる権利としての公的年金制度は、国家が国民に対して、人間としての尊厳を保障するというものなのだ。つまり、私たちは、若いころどんな職業につき、どんな人生を送っていても、等しく年金を受ける権利を持っているということ。それはどんな時代においても変化があってはならないことなのだ。
 では、具体的に今の年金改革で議論されていることの、何が問題であり、今後はどうあるべきなのか。
 今、政府・与党から出されている年金改革案、ぜひ一度、じっくり耳を澄まして聞いてもらいたい。坂口厚生労働大臣、安倍自民党幹事長など、政府・与党の責任者の発言には必ず付け加えられる“枕詞”がある。それは、「今の制度を維持するためには」という、そのワンフレーズ。今の制度、つまり、現役世代の保険料を、年金給付の財源とする保険料方式は、人口が増え続けていくことが前提だ。しかし、日本はあと2年も経てば、人口は減っていく。つまり、“保険料負担世代”の数が減り、長寿国家で“年金給付世代”が増えるということ。「今の制度を維持するためには」、保険料を上げ、給付を減らさなければならないーそれが政府・与党の考え方だ。しかし、高い保険料を負担する私たち世代は、自分たちが年金生活者となったときに、人口減少はますます進み、十分な給付を受けられない。つまり、保険料方式の年金制度は、既に限界が見えているということなのだ。
 ここで、思い切った発想の大転換を、政治家のセンセイ方に求めたい。
 今、政府・与党で検討されている年金改革は、基礎年金部分(国民年金)の国庫負担を3分の1から2分の1に引き上げるというもの。つまり、誰もが等しく受けられる基礎年金の財源として税金の割合を増やし、保険料の負担を減らそうというものだが、保険料方式を続けることには変わりない。「財源が足りない!」と嘆くばかりではなく、今、政治がやるべきことは、国民の老後を国家としてどう保障するのか、その理念と姿勢を見せることなのだ。
 これらを考えると、答えは既に出ているも同然。基礎年金は、全額国庫負担、つまり税方式とする。国家が国民の尊厳を守るためだ。そのためにいくらかの増税は必要でも、保険料負担がなくなれば、トータルで私たちの負担が大きくなることはないし、何より、老後の安心感が生まれる。私たちも、冷静に判断する目を養おう!


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