最終更新日 2002年11月29日
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産経新聞(2002年11月25日朝刊2面)

「少子化対策の前に」

 男性は女性と違って、人生の中で何かよっぽどの事情がない限り、二者選択を迫られることはない。しかし、女性の場合は、結婚や出産、親の介護など、家庭の諸事情が生じたとき、必ずといっていいほど、その選択を迫られる。仕事を続けるか、辞めるか、の選択である。
 私の親の世代は、当然のように結婚や出産を機に仕事を辞め、専業主婦となる女性が多く、仕事をもつ母親は珍しい存在だった。しかし、それから二,三十年が経ち、子供を持ちながらも仕事をしている母親は、珍しい存在ではなくなった。ましてや、結婚を機に仕事を辞める人は少なくなり、出産までは仕事を続けるという考え方は、すでに定着している。
 しかし、これらの変化は、当然のことながら、新たな現象も生み出した。少子化は、その代表的な現象の一つである。私自身も決して人ごとではないこの問題も、深刻に考えなければいけないこととはわかりつつ、しかし、すべての原因が女性にあるのだろうかという疑問も生じてくる。またそもそも、少子化により、何が問題になってくるのかという疑問も消えない。
 政府は、男女共同参画社会を目指して、担当大臣までおき、女性も男性と等しく社会で活躍できる環境作りに取り組んでいる。その一方、少子化現象の原因のひとつは女性の社会進出にあると断定している。一方で、女性の社会進出を後押ししながら、一方でそれによってひき起こる社会現象に批判の目を向けるーこれは、矛盾した考え方ではないだろうか。
 少子化問題は確かに深刻ではあるが、政府が対策を講じることで子供の数が増えるのであれば、そんな国は、ある意味危険である。少子化対策もやらないよりはいいという程度で、むしろやるべきことは、人口が減っていくという前提にたって、社会保障制度を始め、現行の様々な制度や社会の価値観を変えていくことにあるのではないだろうか。


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