最終更新日 2002年10月25日
■HOME ■MailMagazine ■Contact
著作紹介

掲載紙・誌紹介

講演活動 メールマガジン 執筆・取材依頼
「from」
産経新聞(2002年10月21日)

「『一時帰国』ではいけない」

 私がまだ10歳だった昭和53年。それから今日までの24年間、日本が経済力をつけていく中で、私は幸せな日々を過ごした。不況などの影響は受けながらも、24年間の大部分は、幸福に満ち足りたものだった。
 羽田空港に降り立った北朝鮮による拉致被害者の方々の表情を拝見して、この24年間のすさまじい人生が容易に想像できた。年齢以上に人生経験を積んだ、しかも辛い、苦しい経験を強いられた顔がそこにあった。私を含め、多くの日本人が、今までの自分たちの生活がどれだけ幸せであったかを思い起こさせる、そんな瞬間でもあった。
 直接被害を受けていない者にとって、24年という歳月は、あっという間だったかもしれない。しかし、被害者本人やご家族にとっては、長い長い時の積み重ねだった。政治家も政府の人間も、そのことをどれだけ考えてきただろうか。
 日一日と、帰国した方々の変化する姿を見ながら、日本はこの問題を今後どのように進めていくべきか、さまざまな意見がある。私は今回の帰国を、「とりあえずの一時帰国」には、決してしてはいけないと思う。
 拉致問題は、日本と北朝鮮の間にある「個別の問題」ではない。世界の安定した平和を考えるのなら、北朝鮮の民主化こそ必要だ。そのためにも、今回帰国した被害者の方々は、重要な「生き証人」でもあるのだ。そう考えるならば、この五人を北朝鮮に戻すことがあってはならない。

 国交正常化交渉の再開を少し延期してでも、五人とその夫や子供たちの永久帰国について、この帰国中に粘り強く交渉することが、日本政府のいま取るべき行動ではないだろうか。それは、24年という歳月を、政治家と政府の怠慢のかげて、苦しみを強いられたご家族に対する責任でもある。
 政治家は、補欠選挙に気をとられている場合ではない。 


Copyright(C) 2001-2005 (有)パールオフィス. All rights reserved.