最終更新日 2002年5月14日
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産経新聞(2002年4月21日朝刊2面)

『リクルートスーツ』

 新年度が始まって、三週間が経つ。スーツばかりが目立ってしまう初々しい社会人の姿は、新緑の木々とマッチして、季節の風物詩のような印象だ。
そんな一方で、街には就職活動を始めたばかりの学生たちの姿も目につく。昼間、電車の中などで見かける地味なスーツを着た若い子たちは、ほとんど就職活動をしている学生たちだろう。
 企業のパンフレットや新聞を読んでいる人もいれば、相変わらず携帯メールを打っている人もいる。途方にくれている人は、就職活動がうまくいってないのだろうかと、余計な心配をしてしまう。
 私が毎年不思議に思うのは、この「リクルートスーツ」を着た学生たちと会う企業の採用担当者は、大勢の人たちを、どこでどう見分けているのだろうかということである。似合う、似合わないなど関係なしに、皆同じような色の、同じような形のスーツを着ている。表面上これといった特徴のない学生たちを、たった一度の面接で見分けることなど、ほとんど不可能ではないかと思うのだ。
 採用者の数を絞っている昨今、企業側も、できるだけ"いい"人材を得るために、あの手この手で、試験や面接の方法を工夫している。しかし、採用する方もされる方も思惑が一致することは難しい。学生の側も、自分にあった企業に就職するためには、自分の適正を理解し、何を得意とするのか、どんなことがしたいのかなど、上手に自己アピールできるようにならないといけないだろう。
 服装もそうしたもののひとつだと、私は思う。今は、「企業名」という"ブランド"で職業を選ぶ時代ではない。自分の適正を理解していることが、社会人としての第一歩である。
 そう考えると、自分の適正を自覚できずに"権力者"の地位にこだわる政治家やその周囲の人たちは、社会人としての自覚がどれだけあるのだろうかと疑いたくなる。

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