最終更新日 2002年9月20日
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「卒業生の活躍」
聖心キャンパス(2000年2月25日付)

『個性を伸ばす聖心の教育』

  大学を卒業して、今年で丸九年、時は瞬く間に流れていったように思いますが、時が経てば経つほど、聖心で受けてきた教育の意味を深く理解することができるから不思議です。聖心の教育とは、そこに大きな価値があったのではないでしょうか。
 私が最初に社会に出て接した世界は、そんな聖心の価値観とは全く異質の世界でした。テレビ局での現場仕事。人を裏切る、疑う、そんなこととは程遠かった十六年間の学校生活から一転して、周囲の人たちを、みんな敵とは思わないまでも、どこまで気を許したらいいのかわからないという不安にかられる毎日の繰り返し。
 私に対する周囲の"前評判"も、「どうせお嬢様育ちなんだから何もできない」。しかし、そんな"前評判"も大して気にならなかったのは、私自身の性格が本来マイペースだからか、あるいは、「お嬢様育ち」でも、言われたことは忠実に、完璧にこなせる素直さを、聖心の教育の中で備えることができたからなのか・・・。
 そのような社会生活の中で、聖心の教育の素晴らしさを改めて考える機会が増えました。父・細川隆一郎の言論生活五十周年のお祝いに、父の子育て論を『娘のいいぶん』という本の中で記し、処女出版しました。聖心での楽しくもあり、厳しくもあった学校生活を綴りながら、娘を持つ父親や母親に、なにか共鳴する部分がたくさんあったからなのか、第15回日本文芸大賞女流文学新人賞を受賞することができたのです。
 私はその後、"書く"仕事に転身。私には一番身近な世界であった、政治をテーマに、インタビュー記事やコラム、コメントなどを、新聞・雑誌などに掲載してきました。
 一九九五年からは、ラジオ日本で「珠生・隆一郎のモーニングトーク」という親娘時事放談番組のパーソナリティを務めています。また最近では、CS放送の番組制作も始めたり、昨年十二月には、「娘のいいぶん」以来、六年ぶりの著作『未来を託す男たち』(ぶんか社)を出版し、最近になって漸く、ジャーナリストとしての道を、ゆっくりではありますが、一歩一歩前進している実感を持てるようになってきたのです。
 さて、自分が関わっている政治や行政の世界は、社会の中でも、一番不信感の強いところです。自分以外はみんな敵。今日の味方は明日の敵、というように、裏切り行為など、日常茶飯事。そのような世界に、限りなく近いところにいる私は、時々、どうしてこんな世界に関わってしまったのだろうと、迷いが襲ってきます。しかし、三十代の女性で、政治の世界に限りなく近いところにいながら、決して入り込んでいない人というのは、いそうでいないもんです。ならば、そのような立場に置かれた私が、なにか感じることを伝えていくことは、決して意味のないことではないんだという、私に与えられた使命を感じたときに、その迷いが吹き飛んだ気がします。不信感の塊の世界で、私が頑張ることができた大きな理由は、これが私自身をいかせる最適の場であると実感できたことではないかと思っています。
 今、国の教育改革の中で盛んに言われている小学校からの英語教育、週5日制、中高一貫教育、ボランティア教育などの必要性は、みな私たち聖心の卒業生が既に何十年も前から受けてきた教育です。このことを考えても、これからの社会に必要とされる個性や自分の得手不得手をわきまえた人生の選択能力を、きちんと持ち合わせているのが、聖心の卒業生の一番の特徴なのではないでしょうか。
 "お嬢様育ち""細川隆一郎の娘"という、恐らく私の生涯において、離れることのないこの二つの形容詞を、むしろありがたく受け止めながら、私は自分の生まれ育った世界での考え方を、この仕事にどこまでも生かし続けたいと思っています。
(四十一回生)

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