細川珠生website
最終更新日 2003年12月8日
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★ 過去の政治の責任

 イラクで、米英暫定占領当局(CPA)の職員として日本政府を代表し、派遣されていた二人の外交官が殺害され、日本中が悲しみと衝撃に包まれた。CPAの“前身”でもある復興人道支援室(ORHA)の時からの派遣職員で、8ヶ月、危険なイラクに滞在していたのだ。この数ヶ月、自衛隊の安全確保だけが議論されてきたが、それ以前に、武器も持たない日本政府職員が既にバグダッドに入り、自衛隊の派遣先といわれている南部のサマワはもちろんのこと、イラク国中に足を運び、日本が復興に協力できることはないか、まさに命を懸けて走り回っていた人たちがいたのだ。私たち日本国民の多くは、まず、そのことに驚かされた。

 そう考えると、なぜ自衛隊の安全確保ばかりを問題にするのか、不思議でもある。自衛隊の安全のために、丸腰の政府職員がイラク国中を走り回ることに、今まで誰も疑問に思わなかったのだろうか。もちろん、イラク人による警備はあったと思うが、自衛隊に関してナーバスになっているほどの危機意識が、この2人の外交官に関してあったわけではないとすれば、2人の死に、日本政府の責任がなかったとはいえないのではないだろうか。日本政府の責任をもっと強く認め、外務省葬ではなく、国葬として2人を送りだすべきであったと思うし、何より、帰国したときに、なぜ小泉総理は空港まで出迎えに行かなかったのか、疑問が残る。アーミテージ氏もワシントンの日本大使館に記帳に訪れたというのに、小泉総理は行っていない。葬儀で、涙ながらに弔辞は読んだものの、小泉総理には、もっともっと配慮すべきことがたくさんある。

 二人の死から、日本国内では、イラクへの自衛隊派遣を反対する声は日増しに高くなっている。二人の死は、確かに衝撃的ではあったが、もう少し冷静に、そして正しく現実を認識する必要があるのではないかと、私は思う。

 それは、今の日本は、自衛隊派遣を実行するという道しかなく、他の選択肢はないということだ。その理由は、一つはアメリカとの関係、もう一つは、国際社会の一員としての責務だ。

 米英によるイラク攻撃を始めたときも、日本はいち早く米英支持を表明したが、それと同じで、自国の防衛すらアメリカに頼るしかない日本に、主体的な判断力や行動は、分不相応であるということだ。「真の友好国であるならば、アメリカに苦言を呈すぐらいのことをすべきだ」という“有識者”の意見が多数を占めているようだが、友好国ではあっても、対等な立場ではない。アメリカにたてつくことなど、とてもできないというのが、今の日本の国情である。イラク攻撃の大儀だとか、占領の是非などを、議論してもいいが、アメリカに意見できるような立場ではないということを、もっと真正面から受け止めるべきではないだろうか。

 そのような日米関係の中で、それでも、日本は国際社会の一員として、イラク復興のために何かをやらなければならないだろう。医療、生活インフラの整備、教育支援など、ハード・ソフト両面で、日本が協力できることは多いはずである。危険が回避できる状況であれば、何の問題もないと思うが、危険だから、日本は派遣できませんでは、他の国からの信用は一切なくなる。

 二つの理由から、私は、今だからこそ、日本はイラクへ自衛隊を派遣すべきだと思うが、その代わり、必要な武器を持たせ、武器使用の基準も緩和し、集団的自衛権も認めて、自衛隊が自らの安全を確保するために現場で必要なことができるように、法改正をして送りだすべきだと思っている。今の法整備、政府解釈のまま派遣することには反対だが法改正や政府解釈の変更ができないからといって、派遣は不可能と言い切っていいとも思わない。だいたい、10月から実質6日間しか国会を開いていない政治は、これだけ重大な局面を迎えているにもかかわらず、国会も開かず、一体何をしているのだろうか。そのことを、問題にしないマスコミや野党の責任も、大変重い。不幸にも自衛隊に犠牲者が出るようなことになれば、与野党含め、全議員、マスコミにも大いに責任がある。

 

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