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★ 命を懸けた訴え
先週、北朝鮮の元労働党書記で、6年前に韓国に亡命した黄長Y(ファン・ジャンヨプ)氏が、アメリカを訪問、ケリー国務次官補(東アジア担当)や上・下院議員など、政府・議会の要人と面会をした。その間、日本の新聞社のインタビューで、日本の対北朝鮮政策の再考を迫られる事柄が語られた。しかし、日本での報道は極めて小さく、メディアを含め、国民の認識度が低いのか、あまり大きな話題となっていないことが不思議でならない。
黄氏は、拉致事件について、金正日総書記の関与を示唆する発言をした。また、北朝鮮が「死亡した」といっている拉致被害者についても、一部生存の可能性も示唆した。
つまり、昨年の日朝首脳会談で、金総書記は拉致問題に関し、自身の関与を強く否定していた。拉致に関与した人間は厳罰に処したとも言っていた。しかし、北朝鮮では「彼(金正日氏)のサインなしにはただ一人も動かすことができない」(黄氏)というのなら、金総書記の関与は明らかであり、金総書記がいまだ独裁政権を続けているということは、処分が終わっていないということでもある。
また10件15名の拉致被害者の安否について、日本に帰国した5名以外、北朝鮮はウソの調査結果を出してきたことになる。生存を信じ、救出を訴え続けておられるご家族の方々、なんとか生きていてほしいと願う、日本国民の多くにとっては朗報でもあるが、ならばなおのこと、対策を早急に練り直さなくてはならないのではないだろうか。
日朝首脳会談での「平壌宣言」は、金総書記が拉致問題を認めなかったら実現されないことだった。北朝鮮側が認め、「二度とやらない」という言質はあったものも、金総書記の関与や国家ぐるみであるかどうかは、否定されてきた。また、現在の拉致問題解決のための、あるいは日朝国交正常化交渉は、平壌宣言を土台として進められている。
しかし、金総書記の関与を、元ナンバー2の立場にあった黄氏が公としたことは、日本政府に対し、拉致問題への対応を変えなければならないというメッセージでもあるはずだ。一刻も早く日本に連れ戻さなくてはならない拉致被害者の帰国を考えるならば、硬直状態にある日朝関係を打開する、重要な鍵を、この黄氏の発言と黄氏自身が握っているといっていい。
黄氏は、日本の国会議員の呼びかけがあれば、日本に行きたいという希望を持っていると、1、2ヶ月前に耳にした。実現できないまま、選挙戦に入ってしまった。しかし、今からでも遅くない。韓国・中国へ配慮するより、日本の個別の問題であるならばなおのこと、日本の政治家が真剣な思いを持って、黄氏の招聘に力を注ぎ、そこから得られるわずかな情報も読み解くことが重要ではないだろうか。
黄氏は、自分の家族より、民族の将来をと、家族を北朝鮮に残して韓国に亡命し、北朝鮮の体制崩壊を望んできた。しかし、黄氏の意思に反して、韓国では実質的な“軟禁状態”におかれてきた。それでも、アメリカへ行き、日本でも証言をしたいといっている。まさに命を懸けて訴えである。政治家には選挙が終わったら、真っ先に黄氏の訪日が実現できるよう、全力を尽くしてもらいたい。
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