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★ 民主党のマニフェスト
解散・総選挙の声は、私の考えに反して日増しに強くなり、10月5日には、民主党と自由党が合併して「新」民主党となる「党大会」が開かれた。同時に、民主党のマニフェストと、その中で特に重点公約となる『五つの約束』と『二つの提言』が発表された。民主党は、“新しい”選挙の形を目指し、着々と準備を進めている。その姿勢は大いに評価したいと思う。
さて、問題のマニフェストと重点公約の中身である。民主党がどんな国づくりを目指そうとしているのか、それが分からなければ、マニフェストの意味がない。
民主党のマニフェストで評価できる政策は、私は大きく分けて、2点挙げられると思っている。一つは、「経済政策」として、「金融再生ファイナルプラン」を実施するとしている点である。その詳細は、例えば、金融機関の貸付等を中小企業向けと大企業向けを明確に区分し、中小企業に対する貸しはがしや貸し渋りを解消するという点である。また、金融機関の情報公開を徹底する「地域金融円滑化法案(金融アセスメント法案)」を来年度中に国会に提出するとしている。またバブル経済に対する責任を大企業や金融機関経営者だけでなく、行政にも課している点などが挙げられる。
「経済政策」として、もう一点、財源確保の具体例のいくつかを明記していることだ。まず、平成16年度に、「国直轄公共事業の1割削減で3000億円、補助金の一部一括化に伴う事務経費削減等で2000億円、特殊法人等向け支出の1割4000億円など、約1兆4000億円程度を捻出し、政権公約実現の財源とする」、さらに平成17年度には、「国直轄公共事業の2割削減で6000億円、補助金の一括交付化の範囲拡大に伴う対象補助金の5%削減で7000億円、特殊法人等向けの支出の2割削減で8000億円などにより、約2兆5000億円程度を捻出、政権公約実現の財源とする」としている点があげられる。財源の確保を具体的な項目を挙げながら明記することは、今すぐにでも、これだけの財源確保は可能だということと、これが各年度に実施されなければ、「公約違反」が明らかになるということでもある。
「経済政策」のほかに、もう一点評価できる項目は、年金制度に関する政策である。民主党の案は、国民すべてに適用される新たな「二階建て」の年金制度を構築し、一階部分である「基礎年金(仮)」は老後の最低限の年金として全額税を財源とし、所得に応じた給付を受ける「所得比例年金(仮)」を二階部分に相当するという制度である。基礎年金の財源は消費税を充て、そのための増税はやむなしとしている点は、非常に現実的であり、かつわかりやすい。消費税増税は、国民にもアレルギーがあるようだが、基礎年金として全国民に保証される年金となり、かつ、保険料負担がなくなれば、トータルでそう大きな負担増になるということではない。国民も冷静な判断力が必要である。
それ以外の項目については、残念ながら、あまり「なるほど」とうならせるものはなかった。特に、マニフェストの各項目よりも重要となる、「重点公約」については、「補助金の全廃」「企業団体献金を含む政治資金の全面公開」と年金制度について以外は、評価できない。
この「五つの約束」では、本来、国の目指す姿を明確にすべきである。補助金の全廃は、とても自民党にはできない政策であるが、このことから、民主党が地方主権国家を目指していると読み取れるであろうか。三年以内の高速道路の無料化についても、40兆円という債務の返済はどうするのか、料金収入がなければ、債務の補填は増税で充当するしかないのではないだろうか。国会議員の定数1割削減は、衆参どちらを削減するのか、あるいは両方からなのか。それより、国会議員候補者の生き残り策となっている比例代表制度について見直す方が先ではないだろうか。また公務員の人件費1割削減は、削減幅が少なすぎる。
また特に評価できない項目として、「二つの提言」の中の「小学校での30人学級の実現と週五日制の見直し」という点を挙げたい。少子化の流れの中では、30人学級の確保すら、今後は難しくなっていくなかで、私は国が一学級の定員を決めることすら、発想が古いと思う。週五日制は制度が悪いのではなく、運用が悪いだけである。週五日制がゆとり教育の象徴ではないはずだ。
色々批判したい点はあるが、民主党らしいマニフェストであるし、これだけの政策を意見集約し、また全立候補予定者からマニフェスト遵守の誓約書名を取ったという「姿勢」は大いに評価できる。しかし、全立候補予定者が遵守できる項目に限定していることは問題である。本来、政党が提示しなくてはならないマニフェストというのは、国の根幹である、「憲法」「安全保障」「外交」に関して明確な方向性を示すことである。その点、「憲法」については「創憲」などといういたってあいまいな表現にとどめ、政権をとっている間は憲法改正の発議はしないという。要するに、憲法改正はしないということを「創憲」という言葉でごまかしているのだ。「安全保障」に関しては、主体的な日本の姿勢が分かるものは一つもない。
しかし、これが、民主党のマニフェスト、つまり野党のマニフェストと言っていいだろう。あとは、与党側がどんなマニフェスト(公約)を国民に提示するのか、私たち国民は両者を見比べた上で、冷静に判断する姿勢が求めらていることを自覚すべきである。
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