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★ まず、止めること
日本道路公団総裁、藤井治芳(はるほ)氏の処遇が問題となっている。道路公団の中で、改革派として7年も前から民営化の道を探っていた職員の片桐幸雄(さちお)氏の、月刊誌での「告発文」によって、藤井総裁の責任を問う声が日増しに大きくなっているのだ。国会も残すところあと来週一日だけという、この終盤になって、藤井総裁や道路公団幹部の誠意のない答弁が、無駄な時間を消費する事態となっている。
片桐氏の「告発文」によれば、今年6月9日に日本道路公団が“初めて”作成したとされる財務諸表は、日本道路公団は5兆7580億円の資産超過であるといっているが、実際は、6175億円の債務超過であるという。
藤井総裁は、その作成作業も存在も必死に否定するが、昨年の7月に既に財務諸表を作成しており、そこで、6175億円もの「赤字」であることが判明していた。しかし、公団側はこの財務諸表も、そしてそこから判明した「赤字」という財務状況も隠した、というのだ。
道路公団は、民営化の方向で計画が進められている。しかし、道路公団初め、道路に“群がる”関係者達は、特殊法人だろうが民間会社だろうが、道路の建設が続行すればそれでいいのだ。また「天下り先」も確保できれば、それでいい。しかし、道路建設の大前提は、道路公団が「資産超過」であることが前提である。だから、債務超過の財務諸表は、何としてでも隠さなければならなかったのだ。藤井総裁が、この「債務超過」の財務諸表を知っていたのかどうかが問題になっているが、知っていたからこそ、隠したのであろう。
高速道路は、財政投融資からお金を借りて建設している。よって、現在、日本道路公団だけで27兆円の債務があり、道路4公団全体で40兆円もの債務を抱えている。しかし、作った高速道路の資産価値があり、全体として黒字であれば、今後も道路建設が続けられるわけだ。だから、あの手この手で操作し、「資産超過」という結果を出したのが、今年6月に公表された財務諸表であった。一つだけ、どんな「操作」をしたのかの例を挙げれば、通常、債務の金利は費用となるものを、「資産」に繰り入れている。お金を借りれば借りるほど、資産が増えるというのが、道路公団の財務であるのだ。
道路公団の「財務諸表検討委員会」の委員長を務められている加古宜士早稲田大学教授も、この「資産超過」という結果を出した財務諸表は妥当かどうか、判断できないと「判断」されているようだ。
私は、前々から言っているように、現在進行中の道路建設も、計画に盛りこまれた新規の道路建設も、とにかく、まず一旦休止することが、道路問題において重要なことであると思う。既に6000億円以上の債務超過の状態で、道路を今、この瞬間にも作りつづけることで、その債務は、どんどん膨らむ。片桐氏によれば、アクアラインは、一日1億円の赤字を出し続けているという。どこでどう、その赤字を挽回しようとしているのか、その具体的な方法の提示もなく、「道路建設続行ありき」で議論を進めることは、総裁というトップの地位にいる資格はないと、私は思う。
片桐氏は、実質「左遷」の状態で、現在は日本道路公団四国支社副社長を務めているが、昨年6月17日から昨年末まで道路関係四公団民営化推進委員会事務局次長を務めていた。その要職に就いたのも、経営企画課長だった1995年から民営化の検討をはじめ、道路公団の若手職員などと勉強会をつくり、民営化への道を探っていたという実勢があったことが認められたからであろう。このことからもわかるように、道路公団とて、全ての職員が「道路建設ありき」と考えているのではなく、むしろ少しでも“体質”がよくなることを望んでいる職員も、決して少なくないのだと思う。しかし、既得権益を守りつづける、わが身の保身のみしか頭にないような総裁がいることで、道路公団が必要以上に世間の批判にあっていることも、事実だと思う。もはや、藤井総裁の更迭は避けられず、またこの状態を放置してきた、任命権者の扇大臣の責任も問われるのではないだろうか。
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