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最終更新日 2004年3月8日
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★ 脳梗塞という病気

 “ミスター”こと、長嶋茂雄さんが、脳梗塞で入院しました。日本中が人ごとではないかのごとく、“沈痛”になったことは、それだけ長嶋さんが国民的人気者であることを表しているような気がします。

 最初のニュースで「脳卒中の疑い」と聞き、手術はしていないような報道だったので、私はすぐに脳梗塞だとわかりました。私は素人ですが、脳疾患の中でもすぐに手術が必要なクモ膜下出血のような出血を伴う病気に比べ、意外にも脳梗塞というは点滴をする以外、手の施しようがないというのが、父が同じ病気になった私の知識であり、すぐに脳梗塞だと思った根拠です。私の父が脳梗塞で入院したのは、去年の4月。そのときの記憶がまだ新しい私にとって、それこそ、人ごととは思えない不思議な気持ちが私の体を流れたような気がします。

 脳梗塞という病気は、血液が詰まる血管の場所によって、症状は大きく異なります。私の父の場合は、後頭部のほぼ中央のあたりの、運動神経を司る場所がつまりました。数ミリずれていたら、即、死にいたったかもしれないというような箇所です。症状は、左半身の麻痺。言語障害はあるとはいえませんが、入院して2日ぐらいは、多少言葉が滑っていたような気がします。病院へ行ったときは、顔も、左が少し下がっていましたが、翌日には治っていました。思考能力にも一切障害はなく、病院へ向かう救急車の中でも、救急隊員に向かって、「酒は飲まない方がいいぞ。ワシみたいになるからナ」などと冗談を言っていたくらいです。要するに、父の場合は、左半身の麻痺以外、大きな症状はなかったのです。

 脳梗塞は、発症、つまり最初に何か症状が出てから、数時間(2,3時間から6時間ぐらいのようです)以内に病院へ行き、血液を流す点滴を投与すれば、後遺症となる麻痺などはほとんど出ないうちに、治すことができます。しかし、父のように24時間たってしまった場合は、悲しいことに、点滴を投与しても、脳梗塞の広がりをとめることはできないのです。梗塞がどの程度まで広がるかは、3日ぐらいたってみないとわかりません。ですから、ほとんど気休め的な点滴を投与しながら、3日ぐらいは、本人も家族も、非常につらい時を過ごさなくてはいけないのです。

 これらのことから、 “ミスター”の病状を推測すると、脳梗塞は決して軽くないでしょう。父とどちらが重いかは、梗塞の場所が違うため、比較できません。ただ、左脳が詰まるというのは、言語や思考に障害が出ているはずです。会見でも「問いかけに反応している」という表現でした。父の場合は、反応するなどという状態ではなく、健康な人以上の言葉を返したくらいでしたから、右半身麻痺という身体的な変化とともに、思うように意思疎通のできないご家族は、相当ショックを受けておられたのではないかと思います。

 梗塞の広がりに目途がつくまでに、大体1週間。その後、すぐにリハビリが始まります。
 “ミスター”はスポーツ選手ですから、身体的機能の回復は、私はかなり早いのではないかと思います。脳梗塞で怖いのは、入院中、単調で刺激のない生活ゆえに、昼夜の区別がつかなくなったり、精神的混乱が起こることです。また肺炎などの合併症も怖いです。父は、精神的混乱が起こらなかったことは奇跡でしたが、肺炎にかかってしまい、多少危ない時期もありました。

 これらのことを考えると、リハビリをあせったり、見舞い客に気を遣うことは、絶対に避けなければいけないのですが、かといって、「のんびり」回復を待つこともよくないと私は思います。ある程度の目標を持つこと、見舞い客に励まされることは、患者にとってとても重要です。とにかく、本人が一番ショックを受け、生きる希望すら失いがちな病気ですから、そうならないようにするのが、家族、そして本当の友人たちの務めだと思います。

 ここまで私が書いたことは、決して医学の専門的な説明ではなく、あくまでも“ミスター”と同じ病である脳梗塞に父もかかってしまったその経験から、私自身が得た知識を皆様にお伝えしたいと思いました。何かのご参考になれば・・と。

 アテネ五輪の監督を交代することになっても、人選はとても難しいような気がします。長嶋さんのような国民的な人気者って、他にいないからです。指揮官として優秀であるだけでは駄目で、国民みんなが応援したくなるような、そういうお人柄の人は、思えば長嶋さんしかいないのではないでしょうか。

 

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